iDeCoは選ぶ商品によって将来大きな資産形成ができる人とそうでない人に分かれてしまいます。実に加入者の8割がこの元本保証型を選んでいるというデータがありますが、元本保証ならではのリスクや注意点もあるため理解した上で選びましょう。
まず、iDeCoには元本保証型商品と国内株式・海外債券・不動産・投資信託で運用する元本変動型商品の2つのタイプがあります。
元本保証型の商品は大きく利殖を図ることは難しい一方でその名のとおり資産を減らさないという目的には叶った商品です。
この元本保証型は、金融機関によって取り扱う商品ラインナップが異なりますので代表的なものを見ていきましょう。
元本保証(確保)型の商品
SBI証券のラインナップ
- あおぞらDC定期(1年)
- スルガ確定拠出年金スーパー定期(1年)
- スミセイの積立年金保険(5年)
- 第一のつみたて年金保険(5年)
楽天証券のラインナップ
- みずほDC定期預金(1年)
一般の定期預金・年金とは違う
一般的に銀行をはじめとする金融機関で口座を開く「定期預金」や保険会社で加入する年金保険とiDeCoのそれとは別のものだと考えた方が良いでしょう。
- 原則60歳まで引き出すことができない。
- 銀行の定期預金とは異なり、掛金から手数料分が控除される。
- 毎月「新規」の定期預金を作ることになり適用金利が変わる(年金保険も同様)
- 毎月の残高が独立した形で構成される。
元本保証型のリスク
そして、一見してリスクとは無縁のようなこのタイプですが、リスクと注意点がありますので、その点をよく抑えた上で商品を選ぶ必要があります。
- 毎月の手数料分が控除されるため元本を割れが生じる。
- 定期預金100%で運用している場合は低金利のため上記手数料分をペイできない。
- 保険商品(年金)は保険会社が破綻した場合は元本保証はない。
- インフレになるとお金の価値が下がり、低金利の元本保証型で運用することは実質的な目減りになる。
- 保険商品は満期前に中途解約をすると解約控除が適用されるため元本が割れる場合がある。
年金保険を運用商品に選んだ場合、毎月掛金を納めて積み立てているように思えますが、毎月違う年金保険に加入しているという理解の方が正しいでしょう。そうすると、毎月加入しているため、満期時期が1か月ずつずれていきます。まとめて解約して別の商品にスイッチングしたい場合には、中途解約のペナルティが発生しすることになります。
元本確保型商品の場合は、毎月の残高が独立した形で構成されているため、スイッチングの作業は各月ごとの解約というように、指定して売却しなければなりません。定期預金の場合は、適用される金利が下回るだけで元本が割れることはありませんが、保険の場合は解約控除といい、加入期間等によっては元本が割れることがあります。
元本確保型の保険で運用する場合には中途解約に十分気を付ける必要があります。
元本保証型を選ぶ最適な時期はいつ?
では、これらの元本保証・確保型で運用するのに最適な時期、活躍する時期はいつ頃でしょうか?
それは、年金受給前の50代半ばころと考えます。50代までに元本変動型商品(投資信託や債券)で増やした資産を安定的に運用する目的として、元本保証型を組み込むことは良いと考えます。
ただし、その場合でも元本保証型のみ100%で運用するのではなく、比較的安定した債券や投資信託とを組み合わせて守りながら増やしていくことが大切だと考えます。
また、60歳を過ぎて、資金の引き出しタイミングが近くなったときに投資信託などを一部売却し利益を確定させて定期預金などの元本保証型を商品で運用することも賢い方法です。その他に大きな経済不安があり、株式市場や債券市場が大きく揺らぐ際にお金の安全な置き場所として、これらの商品を利用する方法もあります。